今後のがん治療薬の方向性!?

こんにちは。

突然ですが、こんなニュースを拝見いたしました。

大日本住友製薬のがん幹細胞治療薬として開発を進めていたナパブカシンの第Ⅲ相臨床試験において、主要評価項目を達成する見込みが低いことが報告されました。

[blogcard url=”http://www.ds-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ne20180517_1.pdf”]

ナパブカシンの作用機序は”JAK-STAT”というがんの進展に寄与する経路の阻害です。

ん???がん幹細胞治療薬なのに、シグナル伝達阻害???

と思いましたので、今回は今後のがん治療薬の方向性について考えてみたいと思います。

以下、3行まとめです。

・がん幹細胞は幹細胞である
・シグナル伝達の阻害では、がん治療は難しい
・免疫細胞はがん細胞を認識するスペシャリストだ
それではさっそく、本論に入っていきます。
■そもそも”がん幹細胞”って何???
まずは、幹細胞から説明いたします。詳しい説明は以下の記事に記載されてました。
[blogcard url=”https://www.skip.med.keio.ac.jp/knowledge/basic/01/”]
簡単にいうと、幹細胞とは”私たちの体を構成する細胞を作り出すことができる細胞”といったところですね。
つまり、がん幹細胞とは、がん細胞を作り出すおおもとの細胞ということになります。
このがん幹細胞が、治療抵抗性や再発に関与するといわれています。そして、がんの多様性もまた、がん幹細胞を起源として、様々な形質を獲得することで形成されている説が提唱されております。
(がんの多様性に関しては、以下のリンクもご参照ください)
[blogcard url=”https://naaaaaaato.com/2018/05/14/%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%96%AC%E3%81%AE%E5%8A%B9%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%A4%9A%E3%81%84%E3%81%8B%EF%BC%88%E5%BE%8C%E7%B7%A8%EF%BC%89/”]
■シグナル伝達の阻害では、がんの根治は難しい
さて、がん幹細胞はこれまで再発や治療抵抗性に関わることが報告されてきました。
じゃあ、がん幹細胞を倒せば一件落着ですね!!!と思うわけです。
しかし、少し待ってください。
私は大学院時代にがんの発生や治療法に関する基礎研究を行ってきました。
その過程で、がんの進展や治療抵抗性には、ほんとに様々な経路が関わると報告されていることも学びました。
WNT、MAPK、JAK-STAT、AKT-mTOR、ABC Transporter、Apoptosis関連、Autophagy、、、、
単一のシグナル経路から、アポトーシスなどの細胞死、などなど、、、、
たくさんの経路が複雑に絡み合い、時には他のシグナルを補いながら、がん細胞は生存しています。
でも、これはある意味当たり前なんですよね。
がん細胞は、”もともと私たち自身の細胞が発生起源”なのですから。
一つの経路を遮断されたくらいで、私たちの細胞が全滅されてしまったら、人類は滅亡します笑笑
つまり、私たちの体を構成する元の細胞たる幹細胞の性質をもつ”がん幹細胞”が、”細胞内のシグナル伝達を阻害したくらいで、死滅するはずがない”というわけなんです。
特に最初に紹介した学会報告では、”前治療歴のある患者”を対象にしています。
既に他の治療薬からの攻撃を耐え、強化されたがん幹細胞に対して、シグナルの阻害ではなかなか太刀打ちできないのが現実といった結果かと思います。
それでは、このような事例に対して、どう解決していけばいいのでしょうか???
■がん細胞を同定する方法が重要だ
正常の細胞とがん細胞を見分ける適切なマーカーを同定することが、非常に重要だと考えています。
”がんは既に早期発見であれば十分に治せる疾患”だといわれています。
その理由は、手術で切除できるからというのが一番の理由です。
ではなぜ手術で切除できないと治りにくいのか??
転移や再発の可能性が常につきまとうからです。
特に初めの抗がん剤で治療して、腫瘍が見えなくなった数年後、実は少し生き残っていたがん幹細胞たちが再び増殖していることが発見されるパターンですね。
これを防ぐためには、”がんと同定できるマーカーを発見し、そこへ的確に薬剤を運ぶこと”が重要なんです。
そして、”薬剤を運ぶ”もしくは”がん細胞へ向かう”という点において、免疫細胞は非常に使い勝手がいいです。
なぜなら、私たちの体に元から備わっている異物除去のスペシャリストだからです。
最近はネオアンチゲンなどが注目されていますね。
[blogcard url=”https://naaaaaaato.com/2018/05/13/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%81%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%B0%86%E6%9D%A5%E6%80%A7%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/”]
加えて、私が今回ご紹介したいのは、光免疫療法です!!!
[blogcard url=”https://twitter.com/naaaaaaato2018/status/990271137945870336″]
この治療法のほんとにすごい点は、自分の免疫細胞にがん細胞を異物と認識させることで、再発や転移すらも防止できる可能性があるという点です。
(余談ですが、楽天の三木谷さんが出資している会社が現在臨床試験を行っております。アスピリアン・セラピューティクス社です。)
私はこの臨床試験がうまく行って、がんにもワクチンが生まれる世界を夢見ています。
実はこれまでもずっとがん免疫の分野の研究はされ続けていたんです。しかし、ずっと日の目を見ないで、多くの研究者から冷たい目で見られていた時期もあったと聞いています。
しかし、オプジーボがきっかけで、時代の潮流は大きく変わったと思います。
この勢いそのままに、がん免疫の研究が加速して、がんもワクチンで予防できる世界になることを祈っています。
それでは最後にもう一度3行まとめです。
・がん幹細胞は幹細胞である
・シグナル伝達の阻害では、がん治療は難しい
・免疫細胞はがん細胞を認識するスペシャリストだ
ではではまた~~~