MID-NETと次世代医療基盤法について簡単にまとめてみた

こんにちは。

最近は、医療ビッグデータとかリアルワールドデータ(RWD)とか、言われていますね。

間違いなく医療データの重要性は高まっておりますが、医療データを適切に扱い、活用するために国が2つの施策を打ち出しております。

それが、’MID-NET’と’次世代医療基盤法’です。

今回は両者の違いや、今後医療データの扱い方がどのように変化していくかについて書いていきたいと思います。

それでは、3行まとめです。

・MID-NETは初めて医療データを’集める’行為を行った事例として、意義は大きい
・次世代医療基盤法は、各社が競合することで、良質な医療データプラットフォームを作るきっかけとなる
・将来は非中央集権型のプラットフォーム上で患者データが扱われるようになるだろう

それではまいりましょう。

MID-NET(医療情報データベース基盤整備事業)について

MID-NETとは、医薬品の安全対策向上などを目的に構築されたデータベースです。(2018年4月に運用開始)

概要

協力機関:大学病院を中心に10拠点、23病院
登録患者数:約400万人のデータが整備されている
内容:電子カルテ情報やレセプトなどのデータが利用可能
費用:製造販売後調査の利用料は医薬品1品目につき4212万3000円

懸念点

400万人規模のため、希少疾患の解析が難しい。
大学病院中心のため、重症患者に偏ってしまう。また他の病院に転院すると追跡不能

なーとしコメント

基幹病院が中心となるため、がんやCNS領域のデータは多く集められているのではないでしょうか。そのため、がんやCNSを重点領域に設定している製薬会社の中で、現在の研究指針と合致するような医薬品に関しては、申し出てもいいかもしれません。
しかし、この後お話する次世代医療基盤法で扱われるデータの方が融通が利きやすく、認定事業者がデータを整備するまでの間しか活用されないのではという懸念点があります。
少なくとも、国が率先して医療データを”集める”という動きをし、前例を作った意味合いは大きいと感じています。

以下の日刊薬業の記事でも書かれていますが、民間での初めての利用はファイザーのようです。この結果が、日本でのビッグデータの信頼度を左右しかねないため、いい結果が出ることを期待しています。

MID-NET、初の民間利用はファイザー  「イブランス」、製造販売後調査で活用へ | 日刊薬業 - 医薬品産業の総合情報サイト
 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は18日、医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET)の民間による最初の利活用申請がファイザーの「イブランスカプセルの再審査申請に係る安全性検討事項の調査」だ…

次世代医療基盤法について

次世代医療基盤法とは、国が認めた事業者(認定事業者)が医療情報を匿名化したうえで、研究機関や製薬会社に医療情報を提供することが可能になる制度です。(2018年5月に施行。6月現在公募中。)

概要

認定事業者は公募中のため、どのような情報が活用可能かは現段階では不明。
情報利活用者は、認定事業者へ情報収集コスト+マージンを渡す
認定事業者は、医療機関へ情報収集コストを渡す(コストを超えた支払いは行われない)
医療機関は、患者へ金銭を提供することは想定していない。

懸念点

医療情報の匿名化の線引きが非常に難しい。(匿名化し過ぎてしまうと、解析に役立たない)
オプトアウト(患者本人に拒否されない限りは認定事業者への患者情報が提供可能であるという形の同意取得)はほんとに問題ないのか。

なーとしコメント

認定事業者が複数いることで、競争原理が働き、良質な医療データプラットフォームが生まれると予想されます。MID-NETが1つの指標となりうるので、MID-NETとの差別化(個々の情報量の数、調査対象の医療機関の数、etc)が図られることで、様々な特徴をもったプラットフォームができるのではないでしょうか。オプトアウトが懸念点の1つとして挙げられますが、効率的に情報を収集するためには、医師からの十分な説明をすることが妥協点なのではないかと思います。

今後医療データはどのように扱われていくのか

これは以前にも「ブロックチェーンが医療業界の常識を変える!?」でお話しておりますが、ブロックチェーン上に患者さんが自身の医療情報を登録する未来は来ると思っています。

患者さんは自身の医療情報を登録することで、feeがもらえますし、製薬メーカーや研究機関は自分たちの欲している属性のデータを集めることも可能になります。

そのような未来を創るためにも、次世代医療基盤法は非常に大きな役割を果たすので、ぜひ成功してほしいと思います。

創薬研究、臨床開発、市販後調査、、、などなど、様々な場面で役立つことは間違いないので、引き続き動向をチェックしてまいります。

(尚、どこの会社が医療データを扱いこなせるかに関しては、期待を込めて「医療データを扱いこなすのはどこの会社か?」の記事で紹介しております。)

それでは最後に3行まとめで終わります。

・MID-NETは初めて医療データを’集める’行為を行った事例として、意義は大きい
・次世代医療基盤法は、各社が競合することで、良質な医療データプラットフォームを作るきっかけとなる
・将来は非中央集権型のプラットフォーム上で患者データが扱われるようになるだろう

ではではまた~~。

(以下参考文献です。)

リアルワールドデータ活用に向けた政府の取り組み(2018年2月26日内閣官房健康・医療戦略室MID-NET®運用開始記念シンポジウム)
医療ICT NEWS FILE 20180425(株式会社じほう)
内閣官房が語る、「次世代医療基盤法」の狙い(日経デジタルヘルス)
MID-NET利活用、企業の申し出なし(日刊薬業)