こんにちは。
さて、今回は研究テーマの設定方法について、お話したいと思います。
「研究テーマってどうやって決めればいいんだろう?」
「何から始めていいかわからない!」
という悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?
私が所属していた研究室は研究内容を自分で決められるという非常にユニークな研究室でした。その中で、私は学部4年生~修士2年の間の3年間で「筆頭著者2本、第二著者3本」の論文発表に成功し、他の学生の指導も行っていました。
その経験を活かし、研究テーマの策定方法について、お話したいと思います。
以下3行まとめです。
・「抽象から具体へ」の考え方で、まずは自分の知りたいことを口に出してみましょう
・方法論から入るという、やりがちなミスは避けましょう
・先行研究を調べることで、「まだ分かっていないこと」と「自分の知りたいこと」を紐づけましょう
それではさっそくまいりましょう。
「抽象から具体へ」の考え方で、まずは自分の知りたいことを口に出してみましょう
「自分がなんでその研究室に入ったのか?」
「何に興味があったのか?」
をまずは口に出してみましょう。
「先生が優しそうだったから」、「友達が入るから」などの理由で研究室へ入る方もいるとは思いますが、「自身が所属する研究テーマの中で、自分が興味のあることって何だろう?」と考えるといいかもしれません。
例えば、私は「がんの治療薬を開発したいな」と思って研究室を選びました。その後、研究室のテーマを考慮した結果、「がんの治療薬を開発するために、まずはなぜがんは発生するのだろう?」という方向性で自分の研究テーマを探すことにしました。
「なぜがんは発生するのだろう?」くらいの抽象度の高いもので全く問題ありません。その後に具体化していけばよいのですから。
いきなり、「がん細胞の転移能における、○○経路の関与」のように、具体的にする必要は一切ありませんので、ご安心ください笑
次に、学生が研究テーマを設定する際に、ありがちなミスについてお話いたします。
方法論から入るという、やりがちなミスは避けましょう
ここではまず、「学生にありがちな研究テーマの設定方法」の例を挙げます。
”micro RNAの研究したい”
”CRISPRを使いたい”
”エピジェネティクスの研究したい”
という風に研究テーマを考え始めるのです。
(これは分子生物学系のテーマを扱う研究室のお話です。化学系ですと、”○○反応の研究をしたい”というイメージでしょうか。化学系の方、間違ってたらごめんなさい。。。)
この考え方を避けた方がいい理由は、方法ベースで研究テーマを設定しているからです。
料理の作り方と比較することで、詳しく解説していきます。
研究と料理を比較してみる
研究テーマの設定の仕方と料理の作り方を比較しながら、研究テーマの設定方法を解説します。
STEP1:テーマの設定
料理はまず「何を食べたいか?」からスタートしますよね。「肉料理が食べたい!」、「魚料理が食べたい!」というと思います。
同様に、研究はまず「何を明らかにしたいか?」とか、「どんなモノを作りたいか?」をスタートにするべきだと思います。(先ほどの抽象度の高い研究テーマを設定する段階と同じです。)
STEP2:ジャンルの選択
次に料理だと、「和風がいいな」、「洋風がいいな」と考えるのではないでしょうか。この辺りで何を作るかイメージが沸き始める頃ではないでしょうか。例えば、ハンバーグかな?海鮮丼かな?とか
同様に研究だと、明らかにしたい現象や作りたいモノに対して、”細胞のシグナル伝達を見ていきたいのか”とか、”遺伝子変異を見ることでがんの診断ができる機械作りたいな”といったイメージが沸いてくる頃かと思います。
STEP3:方法の選択
料理だと、ハンバーグ作るためには、たまねぎ切らなきゃいけないですよね?そのため、包丁が必要ですよね?他にもフランス料理とかだと、専門的な調理器具が必要なこともありますよね。このように、ハンバーグを作るために具体的な方法論や必要な器具を用意していくことが、方法の選択です。
同様に研究だと、「明らかにしたい現象を明らかにする」、「モノを作る」を達成するために、「CRISPRを使おう」とか、「エピゲノム解析をしよう」という風に方法を選択しているのです。
STEP4:実行
STEP3まで達成したら、あとは実行するのみです!!実際は費用の見積もりや、(研究では)プレゼンがありますが、上の3STEPができていれば、大丈夫です。
お分かり頂けましたでしょうか。
”micro RNAの研究がしたい”、”CRISPRを使いたい”、”エピジェネティクスの研究がしたい”といっていた学生は、STEP3から考え始めた後に、STEP1へ戻っていたことがわかります。
STEP3から考えますと、論理的破綻を起こしかねませんし、最悪なパターンは”そもそもそれで解析する必要ないよね?”となる可能性もあります。
(料理でいうと、ハンバーグ作るために、はさみ使ってるみたいな状況になるということです)
悲しすぎますので、絶対に避けてくださいね。
先行研究を調査し、「まだ分かっていないこと」と「自分の知りたいこと」を紐づけましょう
研究テーマを考えるうえで、重要なことがもう一つあります。
それは「新規性」です!!!
多分、研究室のConferenceで一番最初に聞かれるのは、「この研究の新規性は?」ではないでしょうか?笑
しかし、研究費を使って研究する以上、「他の誰もまだ明らかにしていないこと」に取り組む必要があります。
自分の研究に新規性を出すためには、「上記のSTEP2 or STEP3で、他の研究でやられていない部分」を作る必要があります。
そのために、「先行研究を調査し、まだ明らかになっていないこと」と「自分がやりたいこと」を紐づけましょう。
数多くある先行研究を最短で理解する方法は、「【初めての疾患を勉強する方向け】最速で最先端の情報までcatch-upできる方法!!」をご覧ください。
ここまで考えることができれば、きっといい研究テーマが作れていると思いますよ!!
(最新の手法が開発されると、「使ってみたい!!」と思うものですが、「本当にその手法で解析する必要があるのか」も合わせて検討すべきであることは覚えておいてください。)
ぜひ「自分の関心がある分野において、世界の誰も知らないこと」を理解するための、Excitingな研究室ライフを楽しんでください!
それでは、最後に3行まとめを書いて終わりたいと思います。
・「抽象から具体へ」の考え方で、まずは自分の知りたいことを口に出してみましょう
・方法論から入るという、やりがちなミスは避けましょう
・先行研究を調べることで、「まだ分かっていないこと」と「自分の知りたいこと」を紐づけましょう
ではではまた~~