こんにちは。なーとし(@naaaaaaato2018)です。
新薬の研究開発において、シーズの探索から市場で販売されるまでの確率は、1/30,000 (3万分の1)と言われています。
それでは、臨床試験のみに限定した場合、成功確率は何%なのでしょうか。
答えは9.6%でした。
創薬研究、前臨床試験を突破しても、市場に出せる可能性が平均10%未満とは、なかなかシビアな業界だと思います。
以前から製薬業界は「ハイリスク・ハイリターン」の業界と言われていますが、新薬開発の難化に加え、薬剤の適応が細分化されてきているので、昔よりも「ハイリスク・ローリターン」になっていることが分かります。
さて、今回は臨床試験開始から承認に至るまでの成功率について、全体、各Phase毎で確認をしていきたいと思います。
(データの収集期間は、2006年から2015年までの10年間です。)
(今回の結果は、BIO(Biotechnology Innovation Organaization)のレポートを参照させて頂いております。)
以下、3行まとめです。
・Phase1から承認までの成功率は、9.6%である
・山場はPhase2か?、Phase3への移行率は、30.7%である
・Oncologyの難しさは、数値にも表れている
それでは早速まいりましょう。
Phase1から承認までの成功率は、9.6%である
(Clinical Development Success Rates 2006-2015 – BIO, Biomedtracker, Amplion 2016より引用。)
一番右のグラフをご確認頂けると分かる通り、Phase1から承認までに至る確率は、平均9.6%ということがわかります。
また、Phase3まで移行しても、成功率は平均58.1%でした。Phase3は大規模に行うため、多額のコストがかかります。
そのため、Phase3の成功率をいかに上げるかが、製薬会社にとって重要な焦点となります。(そのためには、Phase2で選択すべき被験者群の選定も重要な項目となるでしょう。)
Phase2からPhase3への移行率は、30.7%である
(Clinical Development Success Rates 2006-2015 – BIO, Biomedtracker, Amplion 2016より引用。)
全3Phaseの中で最も成功率が低いのがPhase2でした。
Phase2は主に、有効性の評価が目的ですので、多くの新薬候補の化合物が有効性を示せなかったという厳しい現実が突き付けられています。
これは悔しいなぁ。。。。
Oncologyの難しさは、数値上でも明らかである
(Clinical Development Success Rates 2006-2015 – BIO, Biomedtracker, Amplion 2016より引用。)
Non-Oncology試験とOncology試験と分けた場合の、臨床試験の成功率を比較しています。
一番差がついたPhaseは、Phase3でした。
Non-Oncology: 63.7%
Oncology: 40.1%
完全な個人的見解ですが、この差は”がんの多様性”が原因の一つではないかと思っています。
(がんの多様性に関しては、「治療薬の効かない”がん”がなぜ多いか(後編)」をご覧ください。)
がんが有する遺伝子変異や特性に関して、個人差が非常に大きいため、少数の被験者を対象とするPhase2では効果が見られていても、大規模なPhase3では効果にばらつきが出てしまうのではないでしょうか。
そのため、各製薬会社は、様々な因子を指標にして、臨床試験の結果を解析しています。
今回の結果から、いかにOncology試験の成功率が低いかを、改めて確認することができました。
最後に
臨床試験の成功率が10%未満という、なかなかに厳しい結論を目にしました。
臨床試験を通さずして、新薬が市場に出ることはありませんので、今後はいかに効率的に臨床試験を行っていくかが、重要になるでしょう。
AI、RWD、Virtual Trial(バーチャル臨床試験)など、臨床試験を効率化するためのツールは続々と出てきておりますが、あくまでツールです。
そのため、有効なツールをいかに有効活用できるかも注目していきたいと思います。
それでは最後に3行まとめを書いて終わりたいと思います。
・Phase1から承認までの成功率は、9.6%である
・山場はPhase2か?、Phase3への移行率は、30.7%である
・Oncologyの難しさは、数値にも表れている
ではではまた~~。